明日から軽井沢風越学園設立準備財団のサマースクールが始まる。
小学生は4日間、幼児は2日間の日帰りプログラム。
65名の参加者を迎える。
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「〇〇すぎる世界」がテーマ。
幼児は思いっきり遊びすぎ、小学生はそれぞれの「すぎる世界」を満喫する。
メディア、地域の住民の皆様、大学生、採用希望者と大人向けにはこれまで何度か場をつくってきたが、子ども向けは今回が初めて。プログラムづくりにはかなり難航した。
サマースクールの内容について検討をスタートしたのは3月4,5日の合宿。
「いいねー」という感触のものに仕上がった感じがした。
ところが、日が経ってみると、ちょっと違うんじゃないか?これ、本当に楽しい?と思うようになってきた。
そこから何度もサマースクールについては話し合いを重ね、その度に「いいねー!」と思い、そしてまた数日後には「違うなー」ということを繰り返した。
自己主導・協同・探究の学びをバランスよく体験できるようなものや、
例えば昆虫博士、大工、忍者などの「〇〇になろう」というものを設定してみたり。
どれもこれも、どうもしっくりこなかった。
サマースクールに来てくれるということは、入学希望者ということでもあるだろうから、子どもたちの学びが保護者に伝わるようにしなきゃ...、というような「保護者に共感してもらうこと」をどうも意識し過ぎていた。
要するに、格好よく見せようとしすぎていたわけだ。
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そうこうしている中、アートのプログラムについては更級真理子さんに力を貸してもらおうということで5月30日にサマースクールの会場となる森で打ち合わせをした。天気は快晴。森を歩き、様々な素材を手にとり、彼女は言った。「なんか、おおきいものつくりたいですねー。1人でもいいし、みんなで一緒でもいいし。すっごくおおきいもの。」森の中で子どもたちが自分よりおおきいものをつくっている光景が浮かびあがる。「それいいね。それで行こう!」とアートの軸が決まった。
5月31日がサマースクールの申込の締め切り。たくさんの人が応募してくれているのに肝心のプログラムが固まってない...。
そして6月2日。岩瀬直樹(ごりさん)、甲斐崎博史(KAIさん)と3人でサマースクールのミーティング。それまで話し合ったことを活かしながら、そろそろまとめないと時間的にまずいなという思いはありつつ、妙案はなかった。
ただ、更級真理子さんの「おおきいものをつくる」はずっと気になっていた。子どもはもちろんだけど、大人もおおきいものをつくると言われたときに、なんかワクワクする。ここに何かのヒントがあるんじゃないかなと感じていた。「アートは、おおきいものつくることになったんだけど...。」と報告しながら、互いに思いついたことを口にしていった。
おおきいものってワクワクする。
例えばグリとグラの絵本に出てくるようなパンケーキとかつくるとかって楽しそう。
でも、きっとあれをつくるのってすごく難しくて、いろんな試行錯誤を重ねるはず。それって探究の学びなんじゃないか。
おおきいじゃなくて、「おおきすぎる」感じの方がイメージとして近い。
深すぎる穴、大きすぎる折り紙の鶴、飛びすぎるペットボトルロケット...。それをやろうとすると、知識や知恵、調査、実験、工夫いろいろな要素がある。
他の人との協力も必要。理解してもらえるように説明できることも大切。
「すぎる」って家でも学校でも、あまり歓迎されないイメージ。だからこそサマースクールでやっちゃうのはありなんじゃないか。
「〇〇すぎる」っていいよ!これでいこう!
そんな感じで、今回のサマースクールのテーマは決まっていったのでした。
難産でした。
でも、最終的には格好がいい具合に崩れ、風越学園らしい自然体になった手応えがあります。
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僕の周りには「すぎている人」がけっこういる。
「すぎる」というのはあまり好印象で受け取られない言葉かもしれないが、「すぎている人」はすごく魅力的。
「すぎる」というのは人が学びを突き詰めていく、深めていく姿にも重なる。
「すぎる」には勇気と覚悟が必要。そしてそれは孤独。自己主導に似ているのかもしれないけど、もっと荒いイメージ。
でも、すぎていくプロセスにおいて、周囲の協力と理解を得ていくことでさらにすぎていくことができている。
「すぎている人」っていい出会いをしている。もちろんそれは、ひたすら行動し続けていることで、たくさんの人、モノ、出来事と出会っているからだけど。
軽井沢風越学園において、この「すぎる」というのはひとつの大切なキーワードになってくるんじゃないかと思い始めてます。
もっとこれについては考えていかなくては。
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台風による天候の変化が心配ですが、明日から思いっ切り遊び、「すぎる世界」に入り込みます。
いや、雨だっていい。雨の中、ずぶ濡れ泥んこまみれになりながら活動するのもあり。
子どもたちの「どうだ!」という表情と、お迎えに来た保護者の人の呆れた表情のコントラストが楽しみです。
軽井沢風越学園設立準備財団としての初めての子ども向けの活動。
しっかり深呼吸していこう。