夏の庭
最近、子どもが主人公の小説を読むようになったという、ウッシーのお薦めで読む。
「夏の庭」(湯本香樹実、新潮文庫)
小学校5年生のときのはずだけど、「ようこねえちゃんのおじさん」が亡くなった。
11月の初旬のことだった。
前田君の家の木工場を写生大会で描いて、その絵が銀賞に選ばれていて、
文化の日とかに町民文化ホールにおじさんはその絵を見に来てくれるはずだった。
結局、突然の事故で、おじさんに見に来てもらえなかった。
その夏、音別川の上流で、お盆なのにおじさんと一緒にドジョウ捕りをしたのが良くなかったのかな、
と素直に思った。お盆に殺生は良くない。
猫柳の枝を曲げ、ドジョウすくいの網の作り方を教えてもらった。
亡くなったことを知らされたときには、よくわからなかった。
学校から帰ってきて、たぶんそのままおじさんの家に言ったんだと思う。
ちょっとコールタールの匂いがする家に行くと、大勢の人がいて、その向こう側におじさんは寝ていた。
そのときに、父親が泣いている姿を初めて見た。
死んでいるおじさんを見に行くときに、涙が出てきた。
見に行くのはいやだったけど、見に行かなきゃだめな気がした。
母親に「泣いてるの?」と聞かれたのを覚えている。
死体をちゃんと見たのも初めてだったし、人が死んで悲しいと思ったのも初めてのことだったと思う。
その日の日記がまだ手元に残っている。