宝物は失くしてしまいがち。
大切だから、
絶対になくしたくないと思って、
ティッシュペーパーに包んで、
紙箱に入れて、
それをまた木箱に入れて、
風呂敷で包んで、
押入れの奥にある衣装ケースにしっかりしまって...。
そして、いつの日か、どこにしまったか忘れてしまう。
大切にしていたことすら忘れてしまう。
引っ越しをする時に、「なんだこれ?」と思って開けてみると、宝物。
こんなものを何でこんなに大切にしようとしてたんだろう...。
でも、きっとあの時は、これがとてもとても大切なもので、
とてもとても大切にしたかった宝物だったんだ。
宝物は失くしてしまいがち。
だから時々、しまってあるところから取り出して眺めてみたり、
手にとってみたりして、
「なんでこれが大切にしたいんだっけ?」と吟味してみる。
もしかすると、宝物だからこそ、
いつも自分のそばに置き、
毎日身に着けて、
自分自身と一緒に傷ついて、
ボロボロになってもそれでもなお、自分が大切にしたいことなのか確かめてみるのがいい。
で、宝物はなんだっけ?
大切にしたいことはなんだっけ?
大切なものを、大切にするというのは、
簡単なようで、当たり前のことのようで、
とてもとても難しい。
大切にするというのは、しまいこむことではなく、
触れ続ける、使い続ける、つきあい続けるってことかもな。