生物と無生物のあいだ (著者: 福岡伸一 出版社: 講談社)
んー、これはかなりおもしろかった!!
分子生物学になじみがなくても、引き込まれる。
日帰り函館出張(涙)の往復の飛行機の中で、一気に読み込めた。
マネジメントのヒントが満載です。
さて、生物は非常によくできた「組織」だ。
でも、その生物でさえ、いつかは死を迎える。(死を迎えるから生物なのだろうけど。)
企業などの組織が、いつか死を迎えるのは当然のこと。
どのように死を迎えるか、どのような死を迎えるか、ということを考えて、組織をマネジメントしてみるとしたら、どうだろう。
そういう視点が経営にも必要なのではないだろうか。
以下、引用。
生命とは要素が集合してできた構成物ではなく、要素の流れがもたらすところの効果なのである。p154
生命とは代謝の持続的変化であり、この変化こそが生命の真の姿である。p164
秩序は守られるために絶え間なく壊されなければならない。p166
つまり、エントロピー増大の法則に抗う唯一の方法は、システムの耐久性と構造を強化することではなく、むしろその仕組み自体を流れの中に置くことなのである。つまり流れこそが、生物の内部に必然的に発生するエントロピーを排出する機能を担っていることになるのだ。 p167
生命とは動的平衡(ダイナミック・イクイリブリアム dynamic equilibrium)にある流れである 。p167
この途上の、ある場所とあるタイミングで作り出されるはずのピースが一種類、出現しなければどにょうな事態が起こるだろうか。動的な平衡状態は、その欠落をできるだけ埋めるようにその平衡点を移動し、調節を行おうとするだろう。そのような緩衝能が、動的平衡というシステムの本質だからである。平衡は、その要素に欠損があれば、それを閉じる方向に移動し、過剰があればそれを吸収する方向に移動する。p263
機械には時間がない。原理的にはどの部分からでも作ることができ、完成した後からでも部品を抜き取ったり、交換することができる。そこには二度とやり直すことのできない一回性というものがない。機械の内部には、折りたたまれて開くことのできない時間というものがない。
生物には時間がある。その内部には常に不可逆的な時間の流れがあり、その流れに沿って折りたたまれ、一度、折りたたんだら二度と解くことのできないものとして生物はある。p271
コメント (1)
通りがかりで、一年以上も昔の内容にコメントさせていただきました。
私が所属する先生が執筆した本ですが、なるほど、この内容がマネジメントのアイデアになるのですね。
また、この本を飛行機の中で読めてしまうのもすごい!後半からずいぶんと難しくなってしまったことを思い出しました。
常にダイナミックで。という視点はわかっていたような気がいていましたが、きちんと生物学的に言葉で説明されるとなるほどと思ってしまいました。
投稿者: tsuneojo | 2008年8月 7日 10:09
日時: 2008年8月 7日 10:09