まとめ |
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中学校をつくる
「学校をつくる」といっても、学校にはいろいろある。 まずは、どのような形態の学校をつくるのかを考えなければならない。 (もちろん、教育コンセプトなどを決めるのが先だがそれはまた別の機会に…) ここでは、中学校の設立を中心に考える。事業をスタートする場合にはどの分野でも同じだが、大きく分けると2つの方法 がある。
- 1.新しくつくる。
- 2.既存のものを活用する。
この枠組みで考えてみると
私立 | 公立 | |
新しくつくる | (A)学校法人を設立する | (C)設置する |
既存のものを活用する | (B)学校法人を買収する | (D)改革する |
の4つの方法がある。順番に考える。
(A)私立中学校を新しくつくる…学校法人を設立する
「学校法人を設立したいんですけど…」という質問をどこにしたらいいか? 要するに、許認可を受けるべき所轄庁はどこなのか?認可するのは「都道府県知事」か「文部科学大臣」の2種類。 設立する学校法人によって、どちらが認可するかが変わってくる。
文部大臣認可 | 大学、短期大学及び高等専門学校を設置する学校法人(大学、短期大 学、高等専門学校) |
都道府県知事認可 | 上記以外の私立学校のみを設置する学校法人(幼稚園、小学校、中学 校、高等学校、盲学校、聾学校、養護学校、専修学校、各種学校) |
私立の中学校は、「都道府県知事」の認可が必要。
といってもいきなり知事に「学校法人設立したいんですけど…」と質問しにいく わけにもいかない。 各都道府県の私学振興課に相談するのがベストらしい。 担当課の名前は、各都道府県によって異なる。 例えば、
- 北海道…総務部学事課
- 東京都…生活文化局私学部私学振興課
- 神奈川県…県民部私学宗教課許認可班
新しく学校法人をつくるときに大きな障害になりそうなのが、
「学校の設立予定地の土地・建物を学校法人に寄付できること。」
という条件。
現在では、他人名義の土地建物を学校法人名義にすることが絶対条件らしい。
しかも、その不動産には、抵当権等が設定されていてはならない。
学校を建てるくらいの広い土地と建物。これをゼロから用意するとなると、
いったいどれくらいの資金が必要なのだろうか…。
(B)既存の私立中学校を活用する…学校法人を買収する
現実的かどうかは別問題として、方法としては考えられる。 最近は、医療法人のM&Aを専門にしている会社もでてきている。 少子化も進む今後を考えると、特徴のない学校法人は淘汰されるだろう。 学校法人のM&Aも、可能性としては残る方法。 ただ、いったいどのようにやるのかはまったくわからない。(C)公立中学校を新しくつくる…設置する
公立中学校の設置を指示するのは、地方自治体の首長、すなわち、 都道府県知事もしくは市町村長(だと思う。)。 とすると、首長になれば、新しい公立中学校をつくる権限はありそう。 ただ、他の仕事もたくさんあるし、そもそも設置する必要があるかないかの 議論がある。「つくりたいから、つくる」じゃ許されない。この方法を選択する 可能性はかなり低い。もう一つの方法としてあるのは、 2000年3月に設置された首相の私的諮問機関、 教育改革国民会議の最終報告「教育を変える17の提案」 (2000年12月)にも提案されている「コミュニティ・スクール」 をつくるという方法。 コミュニティ・スクールについて参考になるのは、教育改革国民会議の委員でもあった金子郁容氏が 運営委員長をつとめるVCOMが参考になる。
実際に、2002年4月からコミュニティ・スクールの実験が進んでいる。文部科学省平成14年度施策「新しいタイプの学校運営に関する実践研究校」 の報道発表資料によると、
- ■30件の応募があり、7件、9校を指定
- ■主な研究テーマ
- 学校の裁量権の拡大
- 校長公募、校長の意向を尊重した教職員人事、学校による非常勤職員の公募
- 学校裁量経費の支出
- 柔軟なカリキュラム編成、教材選定や学級編制などにおける校長の意向尊重
- 推進体制
- 地域学校協議会(学校運営への参画、教育方針の決定、教育活動の評価等)
- 学校と地域との連携
- 学校支援コーディネータの配置・活用
- 外部(地域)人材の活用
- 地元産業界との連携
- ■実践研究校一覧
都道府県等名 | 学 校 名 |
千葉県習志野市 | 習志野市立秋津小学校 |
東京都足立区 | 足立区立五反野小学校 |
三重県津市 | 津市立南が丘小学校 |
和歌山県新宮市 | 新宮市立光洋中学校 |
岡山県岡山市 | 岡山市立岡輝中学校、清輝小学校、岡南小学校 |
広島県尾道市 | 尾道市立土堂小学校 |
京都府京都市 | 京都市立御所南小学校 |
(D)既存の公立中学校を活用する…改革する
既存の公立中学校を活用し、それを改革する。けっこう骨の折れそうなプランだ が、これも可能性としてはある選択肢。そこで、「中学校を誰が主体となって改 革するのか?」と、考えたときに浮かんだのが、「教育委員会教育長」と「校長」。 それぞれの役割は、地方教育行政の組織及び運 営に関する法律というのがある。それによると、
- 教育委員会の委員は、「地方公共団体の長が、議会の同意を得て、任命する。」(第4条)
- 教育長は、「教育委員会が任命する。」(第16条の2)
- 校長は、「教育長の推薦により、教育委員会が任命する。」(第34条)
校長の職務権限は、学校基本法に「校長は、校務をつかさどり、所属職員を監督する」とあるが詳細にどこで決められているのかは不明。
こうして調べてみると、公立小中学校の運営は、教育長の手腕にかかっているところが非常に大きいらしい。
教育長が率先して教育改革を進めた事例として、福島県三春町の元教育長の故・武藤義男 氏があげられる。この改革について詳しいことは、武藤さんの著書「やればできる学校革命 」を参考のこと。
最近の動きとして注目すべきは、教育長、校長の公募である。福島県三春町を皮切りに、 いくつかの自治体で教育長の公募が行われた。校長の公募も行われている。こう いった形で、実際に教育改革を主導する立場になるという可能性も十分ある。
市町村名 | 教育長 | 主な経歴 | 就任日 | 応募者数 |
福島県三春町 | 前田昌徹(67) | 埼玉大名誉教授 | 2000/11/1 | 453人 |
静岡県蒲原町 | 山下一宇(62) | 公立小・中校長 | 2001/5/16 | 102人 |
愛知県西春町 | 吉野茂雄(53) | 名大大学院理学研究科講師 | 2001/10/1 | 96人 |
神奈川県逗子市 | 野村昇司(68) | 公立小校長、児童文学作家 | 2001/12/21 | 528人 |
千葉県浦安市 | 村井由敬(58) | 早大調査役 | 2001/12/25 | 257人 |
東京都青ケ島村 | 飯島夕雁(37) | 福祉施設職員 | 2002/4/1 | 173人 |
石川県加賀市 | 伊藤啓一(52) | 高知大教育学部教授 | 2002/4/1 | 94人 |
学校名 | 校長 | 主な経歴 | 就任日 | ||
高校 | 奈良県立桜井商業高校 | 榎本健志 | 奈良そごう元社長 | 2002/4/1 | 参考 |
奈良県立登美ケ丘高校 | 町田健一 | 電子機器販売・音楽関連会社部長 | 2002/4/1 | 参考 | |
三重県四日市北高校 | 伊藤茂一 | 県教委スポーツ・生涯学習課主幹 | 2002/4/1 | 参考 | |
三重県稲生高校 | 中川安久 | 四日市高校教頭 | 2002/4/1 | 参考 | |
静岡県沼津市立沼津高校 | 田中保幸 | スルガ銀行取締役人事企画部長 | 2003/4/1 | 参考 | |
神奈川県横須賀市立総合高校 | 未定 | 2003/4/1 | 参考 | ||
小学校 | 三重県津市立南が丘小学校 | 未定 | 2003/4/1 | 参考 | |
広島県尾道市立土堂小学校 | 未定 | 2003/4/1 | 参考 |