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2002年11月21日

どういう方法があるのか

まとめ
中学校をつくるには、
  • 私立の場合
    • 学校法人を設立する
    • 学校法人を買収する
  • 公立の場合
    • 地方自治体の首長になる
    • 教育長になる
    • 校長になる
    • コミュニティ・スクールを設置する
    の方法が考えられる。

中学校をつくる

「学校をつくる」といっても、学校にはいろいろある。 まずは、どのような形態の学校をつくるのかを考えなければならない。 (もちろん、教育コンセプトなどを決めるのが先だがそれはまた別の機会に…) ここでは、中学校の設立を中心に考える。

事業をスタートする場合にはどの分野でも同じだが、大きく分けると2つの方法 がある。

1.新しくつくる。
2.既存のものを活用する。
どちらがいいということはなく、それぞれに一長一短はある。どちらも視野に入れて考える。
この枠組みで考えてみると
私立 公立
新しくつくる (A)学校法人を設立する (C)設置する
既存のものを活用する (B)学校法人を買収する (D)改革する

の4つの方法がある。順番に考える。

(A)私立中学校を新しくつくる…学校法人を設立する

「学校法人を設立したいんですけど…」という質問をどこにしたらいいか? 要するに、許認可を受けるべき所轄庁はどこなのか?
認可するのは「都道府県知事」か「文部科学大臣」の2種類。 設立する学校法人によって、どちらが認可するかが変わってくる。
文部大臣認可 大学、短期大学及び高等専門学校を設置する学校法人(大学、短期大 学、高等専門学校)
都道府県知事認可 上記以外の私立学校のみを設置する学校法人(幼稚園、小学校、中学 校、高等学校、盲学校、聾学校、養護学校、専修学校、各種学校)

私立の中学校は、「都道府県知事」の認可が必要。
といってもいきなり知事に「学校法人設立したいんですけど…」と質問しにいく わけにもいかない。 各都道府県の私学振興課に相談するのがベストらしい。 担当課の名前は、各都道府県によって異なる。 例えば、
  • 北海道…総務部学事課
  • 東京都…生活文化局私学部私学振興課
  • 神奈川県…県民部私学宗教課許認可班
という具合。一度、どこかの都道府県の所轄庁に問い合わせに行ってみることに しよう。わからないことは、ダイレクトに聞くに限る。

新しく学校法人をつくるときに大きな障害になりそうなのが、 「学校の設立予定地の土地・建物を学校法人に寄付できること。」 という条件。
現在では、他人名義の土地建物を学校法人名義にすることが絶対条件らしい。 しかも、その不動産には、抵当権等が設定されていてはならない。 学校を建てるくらいの広い土地と建物。これをゼロから用意するとなると、 いったいどれくらいの資金が必要なのだろうか…。


(B)既存の私立中学校を活用する…学校法人を買収する

現実的かどうかは別問題として、方法としては考えられる。 最近は、医療法人のM&Aを専門にしている会社もでてきている。 少子化も進む今後を考えると、特徴のない学校法人は淘汰されるだろう。 学校法人のM&Aも、可能性としては残る方法。 ただ、いったいどのようにやるのかはまったくわからない。

(C)公立中学校を新しくつくる…設置する

公立中学校の設置を指示するのは、地方自治体の首長、すなわち、 都道府県知事もしくは市町村長(だと思う。)。 とすると、首長になれば、新しい公立中学校をつくる権限はありそう。 ただ、他の仕事もたくさんあるし、そもそも設置する必要があるかないかの 議論がある。「つくりたいから、つくる」じゃ許されない。この方法を選択する 可能性はかなり低い。

もう一つの方法としてあるのは、 2000年3月に設置された首相の私的諮問機関、 教育改革国民会議の最終報告「教育を変える17の提案」 (2000年12月)にも提案されている「コミュニティ・スクール」 をつくるという方法。 コミュニティ・スクールについて参考になるのは、教育改革国民会議の委員でもあった金子郁容氏が 運営委員長をつとめるVCOMが参考になる。

実際に、2002年4月からコミュニティ・スクールの実験が進んでいる。文部科学省平成14年度施策「新しいタイプの学校運営に関する実践研究校」 の報道発表資料によると、

■30件の応募があり、7件、9校を指定
■主な研究テーマ
  • 学校の裁量権の拡大
    • 校長公募、校長の意向を尊重した教職員人事、学校による非常勤職員の公募
    • 学校裁量経費の支出
    • 柔軟なカリキュラム編成、教材選定や学級編制などにおける校長の意向尊重
  • 推進体制
    • 地域学校協議会(学校運営への参画、教育方針の決定、教育活動の評価等)
  • 学校と地域との連携
    • 学校支援コーディネータの配置・活用
    • 外部(地域)人材の活用
    • 地元産業界との連携
■実践研究校一覧
 都道府県等名      学   校   名
千葉県習志野市 習志野市立秋津小学校
東京都足立区 足立区立五反野小学校
三重県津市 津市立南が丘小学校
和歌山県新宮市 新宮市立光洋中学校
岡山県岡山市 岡山市立岡輝中学校、清輝小学校、岡南小学校
広島県尾道市 尾道市立土堂小学校
京都府京都市 京都市立御所南小学校
ということらしい。要注目。これ以外にも、すべてコミュニティ・スクールの設立を目指しているわけではな いのかもしれないが、 などなど各地でいろいろな動きがある様子。

(D)既存の公立中学校を活用する…改革する

既存の公立中学校を活用し、それを改革する。けっこう骨の折れそうなプランだ が、これも可能性としてはある選択肢。そこで、「中学校を誰が主体となって改 革するのか?」と、考えたときに浮かんだのが、「教育委員会教育長」と「校長」。 それぞれの役割は、

地方教育行政の組織及び運 営に関する法律というのがある。それによると、

  • 教育委員会の委員は、「地方公共団体の長が、議会の同意を得て、任命する。」(第4条)
  • 教育長は、「教育委員会が任命する。」(第16条の2)
  • 校長は、「教育長の推薦により、教育委員会が任命する。」(第34条)
という具合だ。そして、 教育長は、「教育委員会の指揮監督の下に、教育委員会の権限に属するすべての 事務(第23条)をつかさどる。」(第17条)となっており、教育委員会の職務権限は、 学校の設置・管理・廃止、教育財産の管理、教職員の人事、学校の組織編制 ・教育課程・学習指導、施設・設備の整備などかなり広範囲。
校長の職務権限は、学校基本法に「校長は、校務をつかさどり、所属職員を監督する」とあるが詳細にどこで決められているのかは不明。

こうして調べてみると、公立小中学校の運営は、教育長の手腕にかかっているところが非常に大きいらしい。

教育長が率先して教育改革を進めた事例として、福島県三春町の元教育長の故・武藤義男 氏があげられる。この改革について詳しいことは、武藤さんの著書「やればできる学校革命 」を参考のこと。

最近の動きとして注目すべきは、教育長、校長の公募である。福島県三春町を皮切りに、 いくつかの自治体で教育長の公募が行われた。校長の公募も行われている。こう いった形で、実際に教育改革を主導する立場になるという可能性も十分ある。

全国の公募教育長(2002年4月22日現在)
市町村名 教育長 主な経歴 就任日 応募者数
福島県三春町 前田昌徹(67) 埼玉大名誉教授 2000/11/1 453人
静岡県蒲原町 山下一宇(62) 公立小・中校長 2001/5/16 102人
愛知県西春町 吉野茂雄(53) 名大大学院理学研究科講師 2001/10/1 96人
神奈川県逗子市 野村昇司(68) 公立小校長、児童文学作家 2001/12/21 528人
千葉県浦安市 村井由敬(58) 早大調査役 2001/12/25 257人
東京都青ケ島村 飯島夕雁(37) 福祉施設職員 2002/4/1 173人
石川県加賀市 伊藤啓一(52) 高知大教育学部教授 2002/4/1 94人
(参考 Mainichi INTERACTIVE

全国の公立学校校長の公募(2002年11月21日現在)
学校名 校長 主な経歴 就任日
高校 奈良県立桜井商業高校 榎本健志 奈良そごう元社長 2002/4/1 参考
奈良県立登美ケ丘高校 町田健一 電子機器販売・音楽関連会社部長 2002/4/1 参考
三重県四日市北高校 伊藤茂一 県教委スポーツ・生涯学習課主幹 2002/4/1 参考
三重県稲生高校 中川安久 四日市高校教頭 2002/4/1 参考
静岡県沼津市立沼津高校 田中保幸 スルガ銀行取締役人事企画部長 2003/4/1 参考
神奈川県横須賀市立総合高校 未定   2003/4/1 参考
小学校 三重県津市立南が丘小学校 未定   2003/4/1 参考
広島県尾道市立土堂小学校 未定   2003/4/1 参考
*小学校は2校ともコミュニティ・スクール実験校

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