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2008年3月26日

日本の「食」は安すぎる(山本謙治)

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日本の「食」は安すぎる (著者: 山本謙治、 出版社: 講談社)


やまけんの本である。
挑発的なタイトルだ。


日本の「食」は安すぎる?そんなことないだろ!食は万人に関わるものなんだから、安いほうがいいに決まってる。
でも安全じゃなきゃだめだ。安心して食べられないものなんて食べ物じゃない。
安くていいものを提供する努力をすることで、生産技術の革新・進歩が起こるはずだ。
食に関わる人たちは、もっともっと消費者のことを考えて、がんばれ!しっかりやってくれ!


ここまでとは言わないが、昨今の「食」に関する出来事を生産や流通、販売の側に原因を押し付ける声が多い。そんな中、『日本の「食」は安すぎる』は、全国各地の現場を歩き回り、消費者のことを徹底的に考えて生産活動している人々と本音で語ってきた彼だからこそ書けた本だ。
(褒めすぎか?)


途中、明らかに筆力が落ちているというか、もっとシャープにできただろうと思う部分は確かにある。しかし、内容としては諸手を挙げて共感したい。


彼が言いたいことは単純だ。
誰かが何かをしてくれるのを待つのではなく、「あなた」がすぐにできることをしましょう。
そうすることで、安心して食生活を送れるよ、世の中もっと良くなるよ、ということ。

具体的に本書では、5章に書かれていることがそれだ。
1)買い支えよう
2)食品を買うときに30秒手にとって考えてみよう
この2つを1人でも多くの人が実践することで、日本の食は豊かなものとなるはずだ。


別な表現をすると、安心した食が手に入る世の中にするために、反対運動ではなく「賛成運動」をしようということだろう。そう、いろいろな社会的課題で今必要なのは、賛成運動なのだ。


さて、この本を読み、改めて思い出すのはやっぱりこの一節。

結果としての仕事に働き方の内実が含まれるのなら、「働き方」が変わることによって、世界が変わる可能性もあるのではないか。 この世界は一人一人の小さな「仕事」の累積なのだから、世界が変わる方法はどこか余所ではなく、じつは一人一人の手元にある。 ― 西村佳哲(2003)『自分の仕事をつくる』 晶文社

生産者側、消費者側というように、「あちら側」と「こちら側」に分ければ、あちら側が悪い、こちら側が悪いという責任の擦り付けが始まる。

そんなことをしても何も解決されない。

「あちら側」からすると、「こちら側」が「あちら側」なんだということに気がつかないといけない。私達は、何か壁のようなもので、生産者側・流通側・販売側・消費者側のように分けられているのではない。時間、空間が少し変わればどの立場でもある。

関係しているのだ。そう、つながっている。


買い支え、30秒考える。はじめてみましょう。


いい本だ。
いい本だが、僕はこの本を何十冊も購入して買い支えようとは思わない。
まあ、でもこうやって、語り支えることはすることにしよう。

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