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2003年9月 9日

大前研一敗戦記

初めて大前研一さんの著書を読んだ。

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今まで、なんとなく抵抗感があって、
大前研一さんの本は、極力手にしてこなかった。

それを買って読んでみたのは、
曽野先生に薦められたのが大きな理由。

1995年4月の東京都知事選挙、1995年7月の参議院選挙。
この2つの選挙の敗戦記だ。

都知事選は、
  青島幸男 170万票
  石原信雄 123万票  
  岩国哲人  82万票
  大前研一  42万票
  黒木三郎  28万票
  上田哲    16万票

参議院選は、50万票、得票率1,25%、議席ゼロ。

どちらも完敗。

そうそう、そんなこともあったなあ、平成維新の会なんてのもあったなあ
程度に覚えているくらいなので、かなり遅れたタイミングで読んだわけだ。
初版が1995年11月。

いろいろ書いているわけだが、一番印象的なのは、
それまで他の人の選挙の応援演説はすべて断っていたのに、
大前研一さんの都知事選の応援演説を2度もしたある人物の言葉。

「俺は選挙中、お前には何も言わなかった。あんなに一生懸命やっているのを見ると何も言えなかった。だけどね、あんた滑稽だよ。」

「あんたの政策は素晴らしい。僕なんかが聞くとその通りだと思う。でも、あんたはまったく『底辺』の人々の心に触れていない。おまえさんの言うことはやっぱり『底辺』が唸るもんじゃねえ。ごく一部の知識人がなるほどと思うだけだ。僕は吉本興業にも、どこのプロダクションにも属してこなかった。それで35年間歌を歌って食べてきた。その意味では、大衆が何を考えているのか、自分が掴まなかったら、すぐに客がこなくなる。だから、あんたより大衆が考えていることには敏感だ。」

「あんたがなぜ滑稽なのかというとね、全部1人でやろうとしているからだ。明治維新を見なよ。このまま行ったら日本は欧米列強の植民地になる、大変なことになるという共通認識があった。その危機感が皆にあって、皆がそれぞれの思いで、尊皇だ、いや攘夷だ、いや開国だと百家争鳴した。百家争鳴したけれど、そういう意見の違いを乗り越えて、このままいったら日本は植民地になるという危機意識をバネに、力をあわせてやりとげた。それを後の人が『明治維新』と呼んだだけだ。それと比較すると、大前さんは、全部自分で分析して、全部自分で答えを持ってて、何聞いてもわかってて、そして1人で興ってもいないのに、『平成維新』と言って、『平成維新です。みんなやりましょう』とやっている。それじゃあピエロだ。」

「『平成維新』なんて言葉はやめちまえ。基本的にはね、もっといい国作ろうと。日本というのはこんなもんじゃねえはずだと。我慢できないぞと、こういう言葉で言えば、一般の底辺の人にもわかりやすい。今の日本、家庭をもっと大切にしよう。もっといい国作ろう。それで、その結果として、皆が集まってきてやったものが、後の人が『あれは平成維新だったな』と言ってくれるんじゃない。一回呼びかけかた変えて、『平成維新』だなんだって答えがわかっているようなことを言うのをやめなよ」

この人物、この言葉、加山雄三さんです。

コメント (1)

にゃー:

貴重な情報ですね。

立候補した大前氏の著書を沢山読んでいますが、加山氏の指摘はもっともだと思います。
大前氏に関する鋭い意見に触れたのは初めてです。
ありがとうございました。

(すみません、メアドはダミーです)

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