1991年の今頃、はじめてのひとり暮らしを神奈川県藤沢市でスタートした。
北海道では3月の下旬はまだ冬。
でも東京(その頃の僕にとっては、藤沢は完璧に東京だった)は春。
春だから、暖かいんだろうと信じていた。
第一日目の夜。
雨が降っていて肌寒い。
新築の1Kアパートのには、家具は何もない。
送られてきた布団一式があるだけ。
照明器具はキッチンの小さな蛍光灯のみ。
部屋は真っ暗。
とにかく寒い。
暖房器具なんて当然ない。
「東京は春じゃなかったのか…」
なんか裏切られてさびしかった。
布団に入っても寒い。ガスがまだ開通していなくてお湯も沸かせない。
その頃の僕はまだ髪の毛が少し長かった。
だからドライヤーを持っていた。
「これだ、ドライヤーだ!」
ドライヤーのコンセントを入れ、温風の吹き出し口を布団の中へ。
変型簡易コタツが完成し、体もあったまった。
なんとか東京でひとり暮らしやっていけるな、と妙な自身が沸いてきた。
悪戦苦闘。
ひとり暮らし第一日目の大切な思い出。